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フルタイム共働きのワーキングマザーです。陸マイラーもやっています。

祖父の死と、感染症拡大に思うこと

※私は医療従事者でもなんでもないただのそのへんのワーキングマザーです。医療や感染症の知識はありません。その前提でお読みください。

祖父が亡くなった

 

昨年、祖父が亡くなりました。

肺炎でした。新型コロナウイルス感染症が広がる少し前のことです。

 

亡くなる前の5年ほどは施設に入所しており、ほぼ寝たきりで意思疎通も難しく、子や孫の認識もほとんどできていませんでした。

 

風邪や肺炎で施設からの入退院を数回繰り返し、もうダメかも、ダメかもという2年くらいを過ごしましたが、何度も持ち直して退院し施設に戻りました。

最後の入院後、1週間ほどで病院で亡くなりました。

 

亡くなる際は、寝たままですーっと息を引き取りました。静かでした。90歳を大きく越えてえており、いわゆる大往生だったと思います。

 

 

亡くなったとき、肺炎の治療のための抗生剤(かな?)の点滴やモニターはついていたと思いますが、人工呼吸器や心肺蘇生は行っていません。

延命治療はせず自然に任せて、老衰で静かに息を引き取った、そういう亡くなり方でした。

 

 

 

コロナ禍での祖父の死の場合を考える

 

新型コロナウイルス感染症の拡大で、高齢者施設でのクラスターがたくさん発生しています。

 

時々ふと、もし祖父が入所していた施設でクラスターが発生していたらどうなっていたのだろうかと想像するのですが、その想像の結果、いつも少し悲しい気持ちになるのです。

 

祖父は、病院ではありましたが家族に看取られて、静かに、おそらく本人も苦しまずに亡くなりました。家族も悲しかったけれど、静かにお見送りが出来ました。

 

入所する高齢者施設でクラスターが発生し、新型コロナウイルスが陽性になり入院した場合、本人の意思や家族の意思によらず「感染症とそれからくる症状への治療」が行われます。

重症病床やICUに入り、「治す」ことを目的に治療が続けられます。必要があれば人工呼吸器も人工心肺も薬も、ありとあらゆる医療資源が使われるのでしょう。

 

ただ、あのとき、90歳を超えてほぼ寝たきりで意識もはっきりしない状態で施設に入所していた祖父が、施設でのクラスターにより仮に新型コロナウイルスに感染し重症化した場合、人工呼吸器や人工心肺による治療を行っても、効果があったとは思えないのです。

 

施設で寝たきりの状態で感染し、「新型コロナウイルス陽性です、入院します。肺炎になっており呼吸が苦しいので人工呼吸器を入れます」という治療を受け、仮に肺炎が治癒したとして、人工呼吸器を抜管できたのかはかなり疑問です。すると、ウイルス検査が陰性になっても、抜管できずに人工呼吸器の補助を受け続けることになりますよね。

 

祖父は人工呼吸器や人工心肺を装着して、機械の音が鳴り続けるなか、そのまま亡くなっていったのかもしれません。

 

心臓が止まれば心肺蘇生も一定は試みられていたでしょう。

 

ウイルス検査陽性の間に亡くなれば、家族は誰も祖父に会えないままだったでしょうが、陰性になったとしても、祖父が亡くなったような静かな息の引き取り方ではなかったような気がします。

 

これは祖父がすでに亡くなったから言えることかもしれませんが、祖父の大往生と比べて、忙しい亡くなり方というか、静かでない穏やかでない亡くなり方を想像してしまい、悲しくなるのです。

 

 

現場で感染症対応をされている医療従事者の方は、目の前の患者を感染症で死なせないよう最大限の努力をされます。それは本当に尊く、尊敬すべきことです。

 

ただ、こと老衰の一歩手前の祖父のような患者については、最大限の努力と治療が幸せなことなのか、私が体験したことだけで判断すると、少し疑問を持ってしまいます。

 

 

祖父は、もし今年も生き続けていたとしても、感染症にかからなくても遅かれ早かれ亡くなっていました。

 

祖父が亡くなった経験を経た、今の祖父の子どもたち(私の親や叔父叔母)は、祖父が新型コロナウイルスに感染していたとして、回復の見込みが立たない祖父に、人工呼吸器や人工心肺での治療を受けることを望まなかったように思います。

 

 

 

トリアージについて思うこと

 

イタリアやアメリカで新型コロナウイルス感染症により医療崩壊が起こったとき、人工呼吸器や人工心肺の数が足りず、高齢者には人工呼吸器を装着しないというトリアージが行われていると、日本でも大変話題になりました。

 

トリアージとは何でしょうか?呼吸器を装着する人を選別するとはどういうことでしょうか?

 

70歳で昨日までぴんぴんと元気だった、まだまだ長生きしたいと本人も思っている方を、70歳以上だからという理由だけで人工呼吸器装着の対象から外すことは、確かに悲しいトリアージであり、何とかそうならないよう努力すべき事象です。

 

では、90歳を超えて寝たきりで、本人の意思も分からず、家族も ”新型コロナウイルス感染でなければ” 延命治療を望んでいない人に、呼吸を助ける人工呼吸器を装着できないことは、何としてでも回避すべきトリアージでしょうか?

 

日本でも、感染者の増加により、重症病床使用率が上がり、医療がひっ迫してきています。

 

新型コロナウイルス感染症の死亡者数は、12月7日現在で2,397人、そのうち年齢90代は公表されているだけで391人、全体の16.4%です。

 

年齢だけで線を引くのは賛成ではありませんが、超高齢者の場合、陽性者本人の身体状況や家族の希望で、重症病床でない病床に移す、人工呼吸器の対象から外す(トリアージする)ことは、人生の最後の迎え方、いわゆるリビングウィルの選択としてはあってもいいように思います。

 

新型コロナウイルス感染症なので、普通の病室への入院はかなわないでしょうが、願わくは、機械を使った積極的な治療をせずに静かに亡くなっていく選択もできるような、そしてさらに願わくは、陽性でも何かしらかの方法で家族の見守のもとに亡くなっていけるような、そういう医療が提供されていればいいなと思います。

 

 

 

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