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履歴が残ることの便利さと不自由さ

ネットショッピングで何かを購入すると、購入履歴が残ります。

 

Amazonであれば、数年単位で「前に購入したもの」を調べることができます。

 

この履歴を使って、去年の父の日のプレゼントや、わが家の掃除機のフィルターの種類、興味あって購入した本は電子書籍だったか紙媒体だったかを、調べることができます。

 

調べた後、同じものを購入しないようにしたり(父の日のプレゼント)、前回と同じものを購入したり(掃除機フィルター)、本を探したり(紙の本の場合)という行為につなげることができます。

 

とても便利です。

 

 

図書館での出来事

 

先日、図書館で、「前に借りた本をもう一度読みたいが、本の題名を忘れてしまった」という状態になったので、カウンターで貸し出し履歴を調べてもらえないか聞いたところ、貸し出し履歴は把握していないと回答されました。

 

 

その時は「いまどき貸し出し履歴を残さないなんて本当なのか?」と思っていましたが、少し調べたところ、図書館はあえて貸出履歴を残さないようにしているということを知りました。

 

どんな本を読んだのか、どんな本を借りたのかという情報は、そこからその人の思想信条を読み取ることのできる、かなり重要度で機密度の高い個人情報であり、大変センシティブなものです。

 

図書館の自由に関する宣言」では第3に「図書館は利用者の秘密を守る」と定められています。

 

これによると、図書館は利用者の読書事実や利用事実を外部に漏らさない、図書館活動に従事するすべての人びとはこの秘密を守らなければならないとされており、裁判所の発する令状がある場合を除き、捜査機関であっても読書履歴を調べることはできません。

図書館は、私たちの読書事実や利用事実を外部に漏らさないために、意図的に読書履歴を残さないようにしています。

 

 

戦前や戦時中、持っている本や読んでいる書物で無政府主義共産主義に加担していると判断され、思想犯として特高特別高等警察)などに逮捕されるなど、思想信条の自由が脅かされていた状況を考慮し、読書の自由は思想信条の自由の根幹であるという考え方の元、民主主義の根幹である思想信条の自由を守るため、図書館は注意深く、「利用者の秘密を守る」ことに注力してきました。

 

 

「(映画)図書館戦争LIBARY WARS」の中で 

 

折しもそのタイミングで、映画「図書館戦争 LIBRARY WARS」を観ました。榮倉奈々さんや岡田准一さんが出演されている映画の第一シリーズです。

 

この中で、石坂浩二さん演じる関東図書基地司令の仁科さんが、殺人事件を犯した少年の図書館の貸出履歴を調べに来た警察官(映画上は令状なし)に対して、

 

「図書館は利用者の秘密を守る。」

「読書は思想の一部であり、個人の思想は犯罪の証拠として扱われるべきではない。」

 

と主張する場面がありました。

 

 

 

個人の思想を犯罪の証拠として扱うとはどういったことでしょうか。

 

 

例えば、殺人事件を扱った推理小説やナイフの種類を紹介した本を愛読していることを、殺人の証拠として扱うこと、

戦争関連の本や戦争の歴史の本の読書履歴を、内乱罪(日本を破壊する罪)や外患罪(外国に日本を攻撃させる罪)の証拠として扱うこと、

読書履歴=個人の思想を犯罪の証拠として扱うとはこういうことです。

 

日本の刑法では、殺人罪も内乱外患罪もどちらも最高刑は死刑です。

個人の思想を犯罪の証拠として扱うということは、読んでいる本や閲覧した動画をもとに、最高刑が死刑になる犯罪の容疑者として逮捕されるということです。

 

 

昨今の事件報道を見て考えたこと

 

「まさか捜査機関がそんなことするわけないじゃないか」と普通は思います。私も思いました。

 

しかし、昨今、資産家の殺人事件に関する事件報道において、容疑者の逮捕に関して「捜査機関によると容疑者の自宅パソコンに〇〇の検索(閲覧)履歴があった」という内容が報道されています。

 

こういう報道があってもなお、今後、読書履歴を「犯罪の証拠」のように扱われることは、本当にないと思いますか?

 

 

猟奇殺人の本や映画を見たからといってすべての人が猟奇殺人をするわけではないし、覚せい剤について調べた人が必ず覚醒剤に手を染めるわけではありません。

 

しかし、その報道に触れた国民は、「ああ、だからあの人が犯人だったのか」というイメージを強く植え付けられます。

 

パソコン上のGoogleの検索履歴、ネットフリックスやAmazonプライムによる映画の閲覧履歴などは、家宅捜索で警察はいとも簡単に把握できます。

 

映画は娯楽であるという前提に立ったとしても、映画の閲覧履歴は、つきつめれば個人の好みや思想に結び付くものです。個人の思想と密接に結びつく履歴が、犯罪の証拠として扱われることはないと思いますか?

 

履歴が残ることの便利さと不自由さ

 

ICT、DX(デジタルトランスフォーメーション)と、目まぐるしいスピードで個人や世界がつながり、個人の情報が様々な形で蓄積されています。

 

Google検索で、過去に自分が調べた履歴や他の人が調べた用語を推測して教えてくれるのは確かに便利です。

Amazonで、自分の閲覧履歴や購入履歴をすぐに検索できるだけでなく、一緒に購入すると便利なものや、自分と同じ趣味趣向を持つ人が購入しているものを紹介してもらえるのも、利便性の向上にはなくてはならないものです。

 

 

しかし、図書館が戦後から慎重に守り続けてきた「何を読むか、何を読まないかの自由」は何物にも代えがたく、何を読んだかによって個人の思想を推し測るのは適切ではないという価値観も、私にとってはとても重要だと気づきました。

 

 

 

最近、一部の図書館では、利用者の利便性向上を目的に、時代の流れに乗って貸出履歴を残し、本人に開示するサービスを始めたところがあります。

 

貸出履歴があるということは、必要があれば調べることができるということ。

 

便利になることは利用者としては嬉しい面もありますが、一方で知らぬうちに享受しなければならない不自由さ生じる可能性があることも、心の底に意識しておく必要があるような気がします。

 

図書館戦争 LIBRARY WARS」はAmazonプライム会員なら無料で見られます。

初めての方なら、30日間の無料体験登録ができます。(無料体験はこちらから)

 

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