私は、親族に保育士が複数名おり、かなり恵まれた環境で子育てができました。
20代の若手保育士から、30代のママさん保育士、40代の中間管理職、はては定年退職後も辞めずにパートで続けている超ベテラン保育士まで、老いも若きもそろっています。(いい方…)
みな0歳児から5歳児(年長さん)まで経験しており、朝夕担当の保育士や障害児加配保育士、フリー保育士(クラス担任を持たない保育士)の経験もあります。
2019年4月、わが子が1歳児クラスで保育園に入園する際に、親族の保育士たちから、慣らし保育のコツや保護者が気を付けたほうがいいことなどを聞いたので、自分の経験もふまえて紹介したいと思います。
基本的には泣く
現役保育士が口をそろえて言うのは、
「0歳児はあまり状況を分かっていないからほとんど泣かない。
1歳児は、まーーー泣く。もういいんじゃないかというくらい泣く。
2歳児もそこそこ泣くけれど、3歳児(幼稚園年少)になると周りの状況などが理解できてくることもあり、1歳児ほど泣くことはない。」
ということでした。
0歳児でも、4月5月生まれの月齢の高い子は成長が進んでいるので泣くことが多く、6か月未満だと泣く子は少ないそうです。
反面4月の1歳児クラスは本当に戦場で、両手抱っこは当たり前、フリー保育士も投入されて園全体で1歳児をフォローする体制を整え、お昼寝も皆で寝られることはないので(泣いている子がいるから)、寝られない子や泣いている子は外に連れ出したりフリー保育士が職員室で遊んだり、手を変え品を変え対応します。
1歳児クラスでも、0歳児クラスからの持ち上がりの子たちは保育園に慣れているため泣きません。ですので新1歳児クラスの中で持ち上がりの子たちがどのくらいいるかは、1歳児クラス担任に限らず園全体の関心ごとのようです。(10人中7人が持ち上がりなら「よし大丈夫」と思うらしく、逆に半数を切るとすごく気合が入るらしいです。)
現役保育士いわく
「基本的には泣くので、泣くのが普通と思っていればいい。泣かなかったら『いい子だから安心してお仕事に行ける、ありがとう』思えばよいし、泣くなら「私のことが好きなのね」と思っていればよい」
とのことでした。
入園から2週間を超えても、水分も取れないほど泣き続ける子は、定年まで勤めた大ベテラン保育士の経験でも片手ほどしかおらず、5月にもなればお別れのバイバイも泣かずにできるようになることがほとんどだそうです。
そして保育士の視点では、「親子関係が出来ていれば、1歳児でも『バイバイしてもまたお母さん(お父さん)はまた帰ってくる』とかなり早い段階で理解する」とのことでした。
慣らし保育のコツ
それでは現役保育士に聞いた慣らし保育のコツを紹介します。
預ける際のポイント
現役保育士からは
「預ける際(別れる際)にはさっと受け渡しをして、保護者はすぐに出発して欲しい」
ということでした。
語弊があると困るので詳しく説明しますが、0歳児や1歳児の預かりは、特に泣いている子の場合は抱っこで受け渡しすることが多いです。
この際に、保育士が子どもを受け取りに手を伸ばしているのに、子どもが泣いているからと保護者が抱いたままだと、他の子も足元にいて何なら泣いている中で、ずっと保護者と対峙して手を伸ばしている必要があります。
また、抱き渡しの後、泣いているからと保護者が部屋にとどまると、保育士も客商売ですから、保護者を放置して保育に入ることができず、結果保護者とその子の対応で1人の保育士が取られ、他の子の対応が後手に回ります。
受け渡しの場合は泣いていても、保護者が見えなくなれば切り替えられる子も多く、後ろ髪をひかれることは十分理解するが、できれば受け渡しは素早く、受け渡したらすぐにお仕事に行って欲しい、ということでした。
0歳児クラスは3人に1人、1歳児クラスは6人に1人が、保育士の配置基準です。いくら他のクラスなどからのフォロー体制があっても、子ども1人に対して保育士1人が付くことはできないので、保護者からの受け渡しに時間がかかると困る場面が出てきます。
受け渡しは素早く、バイバイしたらすぐに部屋をでる、これをしてもらえると保育士としては大変ありがたいそうです。
なお、私が「泣いている子をさっと渡して出て行ったら、冷たい保護者だと思われない?」と率直に聞いてみたところ、みな口をそろえて「それはない」とのことでした。
冷たい保護者かどうかはそんなところでは見ていない(ほかに観察する視点はたくさんある)、むしろ保育士としては朝のさっぱりした対応はありがたいと思うそうです。
保育士から見た慣らし保育のコツ
基本的に、すぐに保育園に慣れる子となかなか慣れない子の差は、子どもの性質と親子関係だそうですが、それでも保育園が楽しいところだとポジティブに保育園を捉えているパパママのほうが、子どもは保育園に慣れるのが早いとのことです。
ですので、自宅で、保育園が楽しいと思えるような働きかけをするようアドバイスされました。
また、朝のバイバイや、帰ってきたときの儀式(ぎゅっと抱きしめたり「よしよし」したり)などがあると、子どもも保育園でのお別れをルーティーンとして受け入れやすいとのことでした。
慣らし保育の期間
慣らし保育と当たり前のように言われますが、慣らし保育の期間やルールはあまり明確なものはなく、園や現場保育士の裁量によるところが大きいそうです。
実は慣らし保育は、公立園でも私立園でも、オフィシャルに認められたものではありません。わが子が慣らし保育に入るにあたり調べたことなのですが、保育園は福祉施設なので、子どものために必要であれば、本来は初日からでも親が仕事の時間はフルで預けることができ、逆に慣らし保育で1日保育をしていないのであれば、保育園への補助金や運営費に影響が生じることがあるそうです。
しかし最近は当たり前のように慣らし保育を求められます。
これはなぜかを聞くと、やはり「子どもが大変だから」ということに尽きるそうです。
1日泣いていて水分や食事がとれない、眠いのにお昼寝もできない、そのような状況では子どもがかわいそうなので、せめて慣れないうちは水分を取らなくても(身体が)元気でいられる時間だけ預かって、徐々に慣れ、徐々に保育園を好きになって欲しいというのが保育士の思いのようでした。
ですので、朝のお別れでは泣いていても、その後遊びや食事にすっと入っていけるなら、慣らし保育は1日や2日で十分な子もいるし、泣く時間が長く食事や睡眠も取りにくいなら、1、2週間と言わず、1か月くらい時間をかけた方が良い子もいます。
しかし、数日で慣らし保育を終了する子と長期間慣らし保育を続ける子が出てくると、仕事も始まり忙しい保護者に対して、それは子どもの特性なのだと正しく説明して理解を求めることが難しいため、〇週間と決めて慣らし保育をお願いすることが多いそうです。
ですので、園によっては慣らし保育期間の相談を受けることもあり、場合によっては早めにフルでの保育に入れる場合もあるとのことでした。
わが子の場合
では2019年4月入園のわが子の慣らし保育について紹介します。
わが子の慣らし保育
息子はなんと入園式の週から熱を出し、私が予定してた慣らし保育期間(=育休期間)は、ほぼ発熱期間でお休みとなりその期間の慣らし保育が一切できず、慣らし保育開始は私の仕事開始とばっちり重なるという、最初から波乱万丈の保育園生活でした。
わが子が通園する園では、慣らし保育は最低1週間、長い子は2週間を超えると言われていました。子どもによって異なるということもある程度説明を受けていました。慣らし保育は子どものためなので協力して欲しいということも、丁寧に依頼されていました。
それでも、慣らし保育初日と勤務初日が重なったため、両親にお願いする、私が遅刻や早退で対応する、夫が早退するなど、綱渡りの慣らし保育でした。周りの助けを借りて何とか慣らし保育期間を過ごしました。
保育園側も発熱で慣らし保育期間がずれ、私の出勤が重なったことを認識してくれていたことと、わが子の慣らし保育期間は、他の子はほぼ慣らし保育を終えており、少しゆとりがあったことから、何とか5日ほどで慣らし保育を終えました。
慣らし保育で気を付けたこと
預ける際に泣く子を見ると、保育園が嫌なのかなと感じてしまいますが、泣いているのは保育園が嫌なのではなくパパママと離れたくないからだ、保育園が嫌いだから泣いているわけではないのだと、強く心に言い聞かせていました。
先のアドバイスから、親が保育園にネガティブな印象を持たないために、子どもにも持たせないために、ここはすごく気を付けていました。
また、先生にあまり慣らし保育を早く終わりたいと主張することはせず、子どもが必要なら慣らし保育の延長も受け入れる覚悟を決めました。やはり慣らし保育は「子どものため」なので、親の仕事の都合だけを子どもに押し付けてはいけないと気を付けました。
(ただし、結局は保育園が状況を汲んで下さったことと、子どもは良く食べる子で食事まではスムーズに進んだことから、お昼寝が少しできるようになれば慣らし保育は終了となりました。)
やはり、それまでひと時も離れずに過ごしていた子どもを、登園時に身体にしがみついて泣く子を、引きはがして保育園に預けるのは、自分の身体を割かれるほどつらいことですが、それでも保育園にお願いしなければ仕事はできませんし、保育士さんはプロですから離れてしまえば何とかしてくれます。
仕方なく預けると思わずに、「この場所はきっとあなたが大好きな場所になるよ」という気持ちで、無理やり笑顔で引きはがして引き渡しをしていました。
なお、わが家は夫が保育園の送り担当なので、私が朝のお別れを体験したのは慣らし保育の数日間だけです。
朝の送りの際に泣き続けられた夫は、4月途中でかなり心が折れそうになっていました。
夫の気持ちに寄り添いつつ、保育園は楽しいところだ、仕事をするためには必要な期間だと夫に話しながらやり過ごしていたところ、「今日も泣いてた」「半泣きで済んだ」「泣かずにバイバイできた」と、通勤時にメールで報告をしてくれるようになりました。
朝の様子を毎日共有することで、夫も子どもが保育園に慣れていく様子を可視化することができ、何とか朝の送りを、笑顔でバイバイできるまで続けることができました。
保育園をポジティブにとらえていたことと、慣れていく様子を可視化したことが、わが家の慣らし保育のポイントだったように思います。
最後に
保育園は働く保護者の味方です。働き続けるためには保育園の助けがどうしても必要であり、保育士さんは一緒に子育てをしてくれる同士です。
慣らし保育でなかなか慣れなくても、朝に吐くほど泣いたとしても、保育士さんを信じて、保育園を信じて、毎日明るく保育園に向かうことが、一番子どもには良い影響を与えるように思います。
妄信する必要はありませんが、保育園と保護者は同じ方向を向いていると信じて、任せるところは任せることが、子どもが保育園大好き子になる一番の近道のように思います。
どうしてもどうしても子どもが可哀そうだと思うなら、その気持ちを正直に保育士さんに相談してみても良いでしょう。いろいろと取り組んでみて、それでもなお、お子さんが保育園になじめないなら、その時に初めて、保育園を続けるのか仕事を続けるのか、考えればよいのです。
慣らし保育の数日間は、あまり思い詰めず、親子で保育園を好きになる期間だと、心を穏やかにおおらかに過ごされることをお勧めします。
皆さんの慣らし保育がうまくいき、お子さんが保育園大好きな保育園っ子になれますように。
それではまた。
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