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トリキの錬金術が原因でGotoイートキャンペーンが変更されるのは困ります

 

Gotoイートキャンペーンで、昼食は500円、夕食は1,000円のポイントがもらえることを利用し、夕食時間に大手居酒屋チェーンの鳥貴族を予約して、1品(税込327円)だけ頼んで食事し673円分のポイントを獲得する「トリキの錬金術」、これが問題となり、現在、Gotoイートキャンペーンのポイント付与の見直しが検討されています。

 

news.yahoo.co.jp

 

これについては、私は「困ったな」「嫌だな」と思っているという話です。

 

 

 

錬金術のそもそもの問題点

 

飲食店予約サイトはもともと、飲食店からもらうサイトへの掲載料と予約が成立した際の客送料(予約1人に対して50円~200円前後。客送料が無料のサイトもあります)で、成り立っています。

 

 この掲載料や客送料を、予約サイト側が予約してくれた人にポイントとして還元することで、予約サイトにサイト利用者を呼び込み、利用者が増えるとサイトに加入する飲食店の増加につながるというサイクルの企業形態です。

 

飲食店予約サイトによっては、そしてお店によっては、コース料理のみ予約を受け付けている場合と、席だけ予約もOKな場合があります。

 

鳥貴族では、コースの予約に加え、席だけ予約も可能になっていました。

 

従来、鳥貴族では、席だけ予約を受け入れてもお酒も入れた平均客単価(3,000円程度)を考えれば利益がでるとお店が判断し、席だけ予約を受け入れていたのだと思います。

おそらく今までも、予約はするものの単価が安いお客さんというのは、一定数は存在していたはずです。例えば、ファミリー客や女子会のお客さんなどは、一人当たり単価は平均より低いです。それも含め、客送料を払う席だけ予約を受け入れても利益がでると企業(やフランチャイズ店)が判断し、席だけ予約の仕組みを受け入れていたのでしょう。

 

しかし、Gotoイートキャンペーンの開始により、席だけを予約し1,000円以下の商品だけを飲食して差額のポイントをゲットする目的で飲食店をはしごする人たちが、そこそこの数で現れたので、客送料の分、店の利益がひっ迫して困った問題になったわけです。

(現在、鳥貴族は、席だけ予約の受け入れを辞め、コース料理の予約しかサイトからは予約ができないように変更しています。)

 

 

今回、国がポイント付与方法を見直すと発表していますが、もともとこのポイント還元制度を考えた官僚は、国内最高峰の大学を卒業した賢い人たちですから、ポイントの差額により儲かる人が出てしまう仕組みであることは、当初から想定されていたのではないかと私は考えています。

 

それでも、飲食店予約サイトを活用するほうが、もう一つのGotoイートキャンペーンの参加方法である「Gotoイートクーポン」の発行のみの場合より利用者の確保が見込め、クーポンを印刷して配布するよりは事務手数料が少額になり、サイト側も意欲的に手を挙げ(もしくはサイト側から積極的アプローチがあった)、一律ポイント還元にしなければ事務の委託料が莫大になるなどの理由があり、一律ポイントによる還元の仕組みでキャンペーンを開始したのだ思います。

 

ポイントの差額を儲ける錬金術で損をするのは、客送料を取られるのに客単価が低いため赤字が出る飲食店と、ポイントの原資である税金を支払う国民です。

 

ただ、ポイント自体は国民に還元されていますし、錬金術で生み出したポイントは飲食店でしか使えないという縛りがかかりますから、国から出たお金は飲食店に使われることになり、国のお金で広く飲食店を補助ができる仕組みになっています。

 

また、ポイントが期間内に利用されなければ、消滅ポイント分の税金の支出は不要になりますから、大局的に見れば、損をするのは低額飲食をされ「かつ客送料を払う必要がある」お店だけということになります。

 

 

だから当初、農林水産省からの回答が、「制度上の問題はない」ということだったのだと思います。低額飲食で損をする特定のお店が対策を考えればいいよね、ということです。

 

もちろん、税金が使われるこのキャンペーンを利用しない国民は損をしますが、こういう税金を使ったキャンペーンは、元々制度を使う人だけが得をするものであり、そもそも国が税金を使って行う補助金や支援金の大半は、税金をたくさん支払う人には還元されない仕組みです。(税金の仕組みは富の再分配です。)

 

制度を作った農林水産省の唯一の失策は、トリキの錬金術に対してこんなに「国民から」反対意見が出ることを想定していなかったことです。

 

 

 

GotoイートキャンペーンとGotoトラベルキャンペーンの違い

 

もうひとつのGotoキャンペーンであるGotoトラベルキャンペーンは、旅行代金から35%を差し引きし、15%の地域共通クーポンが配布され、旅行代金の最大50%が還元されるキャンペーンですので、旅行代金の50%の縛りがあり旅行代金以上に還付されることにはなりません。

よって、Gotoイートキャンペーンも、Gotoトラベルキャンペーンと同様、利用金額以上の還付にならないようにすべきというのが、このトリキの錬金術に対する世間の論調です。

 

しかし、旅行予約サイトと、飲食店予約サイトには、大きな違いがあります。

 

旅行予約サイトは、「旅行代金」を比較対象にして旅行者は利用サイトを選びます。

行きたい宿泊先や使いたいツアーについて調べ、じゃらんが安ければじゃらんを選び(じゃらん独自のポイント還元やキャンペーンも含めて)、楽天が安ければ楽天を選び、HISが安ければHISを、JTBの添乗員や旅行スケジュールなどのフォローが充実していればJTBを選ぶという仕組みです。

 

旅行金額がサイト利用者の予約サイト選定基準になるので、旅行予約サイトはきちんと旅行代金を載せます。そして、旅行者が予約サイトを利用した場合に、旅行予約サイト側がホテルや旅館からもらう手数料は、旅行金額の何%という形になり、一律〇円というような手数料ではありません。

 

 

しかし、飲食店予約サイトの利用者は、食事代金を比較する視点ではサイトを選んでいません。予約を取ったりキャンセルしたりが簡単か、検索がしやすいか、ポイント還元はあるか、サイトで予約できるお店がたくさんある(選択肢が多い)かなどで、利用者は利用するサイトを選びます。

 

コース料理の料金は、サイトによって異なるようなものではありませんから、利用者は、料金比較のために飲食店予約サイトを横断して料理を選ぶことはありません。そして飲食店予約サイトも、「料金の安さ」を打ち出して掲載することはないし、店側も、サイトによってコース内容や料金を変えることは(おそらく)しません。

よって、飲食店予約サイトの手数料は、客送料という形で、一人〇円と設定されていることが多いです。

 

つまり、GotoトラベルキャンペーンとGotoイートキャンペーンは、キャンペーンに利用されたポータルサイトのつくりや、利用者のそもそもの利用方法が違うのです。

 

飲食店予約サイトは、席だけ予約をした客が、飲食店でいくら利用したかを把握する方法はありません。ですので、Gotoイートキャンペーンで、例えば利用した金額に応じたポイントを、飲食店予約サイトから付与するようにオペレーションを変えるとすると、サイト側は大混乱になるように思います。

 

もしかすると低額飲食で、ポイント以下の飲食の場合は予約キャンセル扱いにするなど、飲食店予約サイトのオペレーションを工夫することで、ポイントを付与をしない仕組みを取ることも考えられますが、キャンセル扱いをすると、飲食店予約サイト側は客送料をもらえなくなりますから、積極的に取り入れるかは疑問です。

 

 

国のルール変更にはいくつかの方法があります

 

国民に広く「キャンペーンを利用する場合は、夕食に1,000円以上食べてね」とお願いして飲食店を守ることと、国が予約サイト側に、国のルールを守らなければいけないと縛りをかけることは、同じように見えて全然違います。

 

国側が、夕食で1,000円以下の低額飲食の場合はポイント還元はしないように、飲食店予約サイト側に縛りをかけると、飲食店予約サイトには、国から言われたルールを守る必要があるのに、席だけ予約の人の実際の飲食料金を適切に把握する方法がないわけですから、飲食店予約サイトが取りうる手段は、「コース料理しか予約は受け付けない」という選択になるように思います。

 

これ、子育て世帯にとっては非常に困ります。

 

 

子育て世帯にとって使いにくいコース料理のみの予約

 

コース料理の予約しかできなくなると、子どものいる家族連れでの、Gotoイートキャンペーンの活用がすごく制限されることになります。

 

コース料理の予約は通常、全員分、同じコースの予約が必要です。どの飲食店予約サイトも、一度の予約で違ったコースを選べるようにはなっていません。飲み放題の予約をする場合、お酒を飲めない人でも飲み放題予約が必要です。

  

わが家の子どもは2歳です。子どもを連れた居酒屋での外食はまだしたことがなく、外食をする場合は、子連れでも行きやすいお店で、アラカルトで注文することが多いです。

わが子は量をそこそこ食べるので、親からのとりわけではなく、子ども用のメニューを頼みます。お子様ランチのこともありますし、お店によっては普通の大人用メニュー(丼ぶりや麺類など)のこともあります。

  

しかし、コース料理は子どもには量が多すぎて不要です。食べ放題の予約の場合は2歳であれば通常は無料のお店が多く、飲み放題はそもそも子どもには不要です。

 

しかし、予約サイトでコースを予約する場合、人数分の予約でなければ、ポイント還元はありません。

 

親の分のコースだけを予約し、ポイント還元も親の分だけもらえれば良いのですが、席は子どもの分も必要です。しかし、コース料理とあわせて子どもの席だけ追加して予約することはできません。 (できるサイトがあるなら知りたいです。)

つまり、現在の飲食店予約サイトにおけるコース予約は、子どものいる家族連れにはすごく不向きなのです。未就学児2人がいる4人家族などは、本当に困ると思います。

 

 

わが家は、Gotoイートキャンペーンを活用し、自宅周辺にある、まだ行ったことのない洋食のお店の利用を検討していました。個人店で、席だけ予約も可能で、子どもも親も楽しめそうな、メニューの種類がたくさんありそうなお店です。

 

このお店が今後、コースのみ受け付けとなった場合、現在表示されているコース単価はお酒がついていて5,000円以上の金額設定ですから、訪れるのを躊躇するようになるでしょう。車で行く必要があるので夫婦どちらかは飲酒できませんし、わが家には使いづらいコース料理を3人分予約する必要がありません。

 

しかもこのお店、サイトに掲載されているコースはすごく少ないです。おそらくこれまでも、アラカルト注文の飲食で、お客さんをたくさん受け入れていた形態のお店だと思います。

 

トリキの錬金術の影響を受け、Gotoイートキャンペーンのポイント還元で、国が利用金額の下限額を設定するよう飲食店予約サイトに制限を求め、そのせいで、予約サイトのルールで席だけ予約が使えなくなった場合、このお店は喜ぶのでしょうか。

 

住宅街の近くにある、おそらく地元に愛されるお店です。会社の飲み会に使われるようなお店ではありません。地元の人が、昼食や夕食で利用することで、続いてきたお店だと思います。

 

そういった個人のお店も、新型コロナウイルス感染症により大打撃を受けており、こういう個人のお店こそ、Gotoイートキャンペーンで救われて欲しいのに、低額一律料金を定めている全国チェーンの巨大企業で生じた問題で、このお店がGotoイートキャンペーンで得られるはずのお客さんや利益を失ってしまうのは、とても残念に思います。

(それなら5,000円のコースでも予約して行けばいいのではと思われますが、記念日でもない普通の日の外食で、飲みもできないお酒つきのコースに、(ポイント還元を考慮しても)一人4,000円を支払えるほど、サラリーマン共働き家庭に余裕はありません。)

 

もし、予約サイトからの予約がコース料理しか選択できなくなったら、お客さんを取り逃がしてしまう小さなお店が、全国にたくさん出てきてしまうように思うのです。

 

ですので、私は、トリキの錬金術だけを見て、Gotoイートキャンペーンの条件が変更されていくことには、反対の立場です。

 

国がサイト側に制約をかけるのではなく、鳥貴族のように低額飲食により困るお店が、現状の飲食店予約サイトで出来る範囲の中で対応を取り、国民にはポイントの差額のための低額飲食を控えるよう呼びかける形でいいのになと思っています。

 

これだけ低額飲食が批判されれば、そもそもこれを大々的にお店で行ったり、SNSで広めたりする行為は減っていくと思います。よくも悪くも日本人は、ひとめを気にしますから。

 

最後に

Gotoイートキャンペーンでの錬金術に反対意見が出るのは当然です。しかし、特に国が全国民を対象に一度始めたものを辞めるのは、難しいです。 

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国が飲食店予約サイトを活用してこの制度を始めるとき、あらかじめルールを決めて飲食店予約サイトと契約を行います。契約を途中で変えるのは、新たな費用が発生しますし、そもそも飲食店予約サイト自体の仕組みで、契約変更に対応しきれないこともあります。

 

そして、ルールが変わると、それで困る人も出てきます。

 

とりあえず、Gotoイートキャンペーンで、コース料理だけしか予約できなくなると、子育て世帯は困るということが言いたくて、書いてみました。 

 

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