6月上旬に、子育て世帯に衝撃の走った事件がありました。
キッズラインわいせつ事件です。
この事件により、ベビーシッターからのわいせつ行為の被害者が出たことも衝撃ですが、この事件を受け、キッズラインが全男性シッターのマッチングを「一時停止」したことも、大きな話題となりました。
この一連の報道について、わいせつから子どもを守る方法や、男性保育士の必要性について、私の意見を残しておきたいと思います。
わいせつ事件から子どもを守るために大人が取るべき対応策
子どもを守るという視点から、大人や社会が取るべき対応策を考えました。
性犯罪者のデータベース化
とくに子どもに向けた性犯罪の防止には、性犯罪者データベースの共有が一番効果的だと思いますが、なかなか進みません。
データベース化は、性犯罪者の人権や更正の面で問題があるのは十分理解できますが、子どもに対する犯罪から子どもを守るという問題に対しては、私は、性犯罪者のデータベース化と共有は、進めるべきだと思います。
理由は、子どもは自分に起こったことがうまく説明できないことと、しゃべられない年齢の子どもでも性犯罪の対象になることと、子どもをターゲットにする性犯罪者の性癖は更正の余地が少ないという研究結果があることからです。
性犯罪者自身の人権が侵害されるという点については、データベースの閲覧を、学校や幼稚園、保育園、ベビーシッター運営会社など、教育施設や福祉施設の、かつ施設長や園長など一定の権限がある人しか閲覧できないよう制限をかけることで対応すべきです。
昔、ある会社の採用担当の方から、その人の会社で採用活動をする際に、犯罪者を採用してしまうことを防ぐために、新聞やニュースで特定の犯罪で逮捕された人のリストを作り、それをもとにチェックをしている、という話を聞いたことがあります。その話を聞いた時、気が遠くなるような地道な作業だな、と思った記憶があります。
この方法は、実は大きな問題があります。
逮捕者=有罪の人ではないからです。
しかし、誰かが逮捕されたという報道はあっても、その人が有罪になったかどうかは、ほとんど報道されません。だから、先の会社では、逮捕者を検索して調べることしか、対応が出来なかったのだと思います。
性犯罪者については、行政機関か司法機関が責任をもってセキュリティーの高度な犯罪者リストを作成する。閲覧者は許可制にして制限する。教員免許や保育士免許等子どもと関わる免許や資格の発行、教育機関や子ども向け福祉機関での採用において、そのリストを活用して、犯罪者を教育現場から排除する。
このくらいは、やってもいいように思いますが、いかがでしょうか。
評価システムの改善
キッズラインで問題になっていた、報復評価が怖くて正当評価しにくいという問題は、速やかに解決する必要があります。
例えば、依頼者もシッター側も、自分が評価するまで、相手の評価は見られないようにする。このくらいはメルカリではもう取り組んでいますね。
とはいえ、メルカリと違い、自宅も連絡先も相手に分かってしまっているベビーシッターでは、評価のタイミングによっては、誰からの評価かわかってしまうと、現実的な報復も考えられるため、低評価にしづらい問題は残るかもしれません。
この点、オンタイムの評価ではなく、2週間とか1か月分の評価をまとめて反映するなどすれば、親側もシッター側も、誰が評価したのか分からなくなり、報復評価を恐れるという点ではマイルドになるように思います。
ただし、外部から見た時に、評価内容が1か月(もしくはそれ以上)前のものになる、今検索できている評価は、ちょっと前のものになる、というデメリットを、サイトの使い手側が享受する必要があります。
また、口コミの評価を真摯に受け止めてその後のシッター業務の改善に生かしているような、まっとうなシッターさんに対しては、評価内容が「誰からされたものか」が分からなくなることで、具体的な改善につながらくなってしまう可能性もあります。
なお、インターネット上の口コミ評価については、ぐるなびも食べログも、IT最大手のAmazonでさえ、サクラ評価問題に手を焼いているようです。Amazonでさえです。
Amazonで解決できないものを、キッズラインのような日本のベンチャー企業が根本的に解決するのは難しいように思うので、口コミは、最後の参考程度に使うという認識を持つことも大切です。
対面面接を必須とし事業者や親の直感を大切にする
では、口コミも信用できないとなれば、どうすればいいのか。
今すぐできる対応としては、面接や試験など、対面で見極める方法しかありません。
とはいえ、私は、性犯罪者の方が身近にいるわけではないので、性犯罪者ってこんな雰囲気を持っているという般化ができません。おそらく、どの保育園やシッター会社も同じでしょう。
そこで、犯罪心理学などを研究している方や、刑務所の指導官などに、心理テストや犯罪者の傾向が分かる質問などを研究してもらいたいです。面接手法であれば、広く周知したら、犯罪者側も面接練習とかで対応できてしまいそうですから、やはり心理テストくらい複雑なものがいいのでしょうか。
犯罪傾向のある人を排除できる心理テスト。ある程度信用性があるものなら、値段をつけて売れる気もします。
男性保育士は必要か?
では、ここまでして、男性保育士を保育の現場に受け入れる必要があるのか。
今でもほぼ女性の職域ですから、このままでもいいのでは?という点について考えます。
私は、男性保育士は、保育現場に必要な存在だと考えています。
経験則なのですが、男性保育士は、女性保育士では提供できないダイナミックな遊びや、男性特有の視点での保育を提供することができます。
例えば、お母さんは、体重10キロを超えた子どもに、高い高いをして遊んであげることは難しいですが、お父さんなら頑張ってくれます。肩車も、プールなどで上から落とすようなダイナミックな遊びも、お父さんならやってくれます。
男性保育士も同じです。身体を使った遊びは、男性保育士のほうが子どもに人気です。
虫探しも、木登りも、探検も、男性保育士のほうが、子どもたちに人気が出るのです。
家庭での子育ては、お父さんとお母さん2人で行う家庭が増えてきました。
そんな中、保育園や幼稚園だけは、保育士や教諭がみな女性という環境は、子どもにとっても違和感があると思うのです。家庭と同じく、保育園でも男性保育士と女性保育士が自分の世話をしてくれる環境のほうが、子どもにとっては自然です。
以上の点から、私は、男性保育士は保育現場に必要な存在だと考えています。
改善すべきは、保育の現場から男性を締め出すことではなく、男性が、男性特有のデメリットをクリアしつつ、その経験や視点を生かすことができる職場環境だと思います。
子どもの性被害者をうまないために
それでは、男性保育士のわいせつから、わが子を守るにはどうすればいいのでしょうか。
わが家の子どもは男の子ですが、キッズラインの事件については、2名の逮捕者のうち1名は、わいせつ行為の対象が男児の事案です。子どもが男の子だから大丈夫というわけではありません。
そうなると、統計上、女性の小児性愛者は男性のそれ比べてほとんどいませんから、当面、わが子をお願いする時には女性に対応してもらいたい、と思ってしまうのが親心です。
一方で、保育士になりたいと思っていた男子学生が、最近の男性保育士のわいせつ事件により、人手不足の保育現場でさえ採用されるのが難しくなり、他の仕事を選ぼうとしているという話を聞きました。
こういう話を聞くと、一部の性犯罪者のために、その仕事を本当にやりたいと思っている若者たちの希望の芽を摘んでしまうのも、申し訳なくいたたまれない気持ちになります。
他の職種を見ると、医師は、裸も見ますし、産婦人科などは女性検診や出産も対応しますが、わいせつで問題になることはほとんどありません。
男性看護師も、ゼロではありませんが、わいせつが問題になることは少ないです。
医療現場では起こらない問題が、なぜ保育や育児現場で起こってしまうのか。私は、取得資格の難易度と、患者と一対一になることが少ないこと(他の患者や他の医療従事者がいること)が、原因として考えられると思います。
子どもに対する保育者のわいせつ行為をどうやって抑止していくのか。
保育士資格の難易度を高め、その代わり資格取得後の報酬も資格に見合う額にするなど、社会の金銭的負担が増える方法も、検討する必要があるでしょう。
上にあげたように、社会の仕組みとして、性犯罪者を保育や教育の現場に入れない仕組みを、社会全体で合意形成していくことも大切です。
また、男性の保育士やベビーシッターについては、一人で保育することがないようなクラス配置や、シッターのマッチング調整をする(親の見守りのもと身体を使って遊ぶようなリクエストに対してマッチングを行う)なども、考えてみる必要があるでしょう。
採用時点で性犯罪者(傾向のある人も含む)を排除する仕組みを作り、犯罪傾向のある人が紛れ込んだ場合でも、被害者になりそうな対象者と一対一になる状況を減らしていくことで、親も子どもも安心して預けられるようになっていくと思います。
そして、そういった社会を、私たち親も含め、社会全体で考えて作っていく必要があると思います。
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