女性の育休取得率が8割を超えました!
というニュースを見ると、女性も働き続ける人が増えたのかと勘違いしてしまいますが、実は、まだ、第一子出産後に仕事を辞める女性は、46.9%にのぼります。半数近くの女性は、出産を機に仕事を辞めています。
第一子出産後、(産休育休等を取得して)就業を続ける女性の割合は、女性全体の38%程度しかいません。
【参考】国立社会保障・人口問題研究所調査
(http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_reportALL.pdf)
思ったより少ないと思いませんか?
なぜ子どもを産んだら、半数近くの女性は仕事を辞めてしまうのでしょうか?
それは、女性が出産後も働き続けるために必要な条件があるからです。
本記事では、出産後も共働きを続けるために必要な3つの条件を紹介します。
仕事を続けたいと思っているプレワーキングマザーの方や、奥さん・彼女さんに仕事を続けて欲しいと思っている男性の方に、ぜひ読んでいただきたいです。
女性が出産後も仕事を続けるための3つの条件
女性が出産後も仕事を続けるための3つの条件とは、ずばり、
・会社の制度
・夫の理解
・本人のやる気
です。
以下順に説明していきます。
会社の制度
出産後も女性が働き続けるためには、まず会社の制度が整っていることが必要です。
産休・育休については、法律(労働基準法、育児介護休業法、男女雇用機会均等法など)できちんと定められており、産前産後休暇も育児休業も、雇用者側は女性から取得したいと申し出があった場合、拒否することができない法律になっています。
しかし、今もなお、出産を機会に仕事を辞めたという話をよく聞きます。
なぜなのでしょうか。
これは、以下の3つのパターンがあるように思います。
(1)(法律では、産休・育休を与える必要があるにもかかわらず)会社から制度がないと説明され、知識がないためその通りに受け止める
(2)制度はあるけれども、取得した前例がないため、会社から辞めるようプレッシャーをかけられる
(3)制度はあるが、あまりのハードワークにより、子育てしながら働き続けるのは不可能だと思って、女性側が諦めてしまう。
どれも、一つ一つは根深い問題です。
したがって、制度が整っている会社とは、産休育休制度が整備されているだけではなく、制度があって、かつ産休育休を取得して復帰した女性社員がいる会社を指すことになります。
このような会社であれば、会社側の条件は整っていることになります。
夫の理解
次に、働き続けるために必要な夫の理解について説明します。
夫の理解には2種類あります。
①妻が仕事をすることに伴い家事負担や育児負担を積極的に担う意思があることと
②妻の仕事を尊重する気持ち
この2つです。
①の家事負担や育児負担については、比較的分かりやすいです。
女性が(出産後も)仕事を続けるということは、家にいる時間が減る=家事や育児をする時間がない、ということなので、この家事育児を夫も一緒に行う覚悟があるかどうかということです。
「家事が回らないなら、手抜き料理でいいよって言ってあるから、うちは大丈夫」
と今思った男性諸氏。
それは間違いです。
子どもがいると、手抜きができない家事というのが発生するのです。
子どもに食事させるのに、毎日コンビニ食や総菜、毎日外食、というわけにはいきません。
洗濯も、夫婦2人なら、最低週1回か2回で済んでいたところが、子どもがいると、吐きこぼし食べこぼしお漏らしなど、1週間も置いておけばカビが生えるような洗濯物が発生します。土日にまとめて1回、というわけにはいかなくなります。
男性は、女性に共働きを求める際には、このあたりをきちんと理解した上で、自分は家事育児を半分担えるかを、自分の胸に手を当てて聞いてみてください。
女性についても、共働きを維持するためには、自分の家事育児能力でワンオペは無理だと思ったら、きちんと配偶者や恋人に説明し、理解してもらうことが大切です。
次に、②妻の仕事を尊重する気持ち について説明します。
家事分担の話をするとき、特に男性側から、収入(給料)比率=家事分担比率であることが当然だ、という主張をされることがあります。
また、妻の仕事は、給料が安いから自分の仕事より価値がないと思ったり、実際にそう主張したりする男性もいます。
逆に、自分の給料が低いから、その分家事をやって当然だと思ってしまう女性もいます。
しかし、これも間違っています。
女性はどうしても、妊娠出産によりフルスペックで働けない期間があります。育休を取得するなら、その期間もキャリアとしては停滞します。
日本の会社の給与体系は、勤務年数と比例するところが多いです。同じ年、同じ職種で採用された同じ学歴の男女でも、キャリアの中断や停滞があれば、給料に差がでるのです。
また、妊娠出産で正社員の職を一度辞めてしまったら、子どものいる女性が出産前の仕事より高収入の仕事に就くのは、日本の新卒一括採用市場ではほぼ不可能です。
やる気以前の問題です。
ですので、仕事の収入の差で家事分担比率を決めたり、仕事の価値を決めたりするのは、間違っているのです。
妻の仕事は、妻が妊娠出産までの期間大切にしてきた仕事であること。
いったん退職して、出産後新たに仕事を見つけてきたとしても、その仕事は妻がやりたいと思って選んできた仕事であること。
妻の仕事は、もらえる金額の多寡にかかわらず、妻が大切に思う仕事であり、その大切に思う気持ちは、夫である自分が仕事を大切に思う気持ちと変わらないこと。
妻に共働きを求める男性は、このことを強く心に刻んでおく必要があります。
本人のやる気
最後に、女性のやる気です。
いくら会社の環境が整っていても、いくら配偶者(夫)が協力的でも、「やっぱり家庭に入りたい」という女性は一定数存在します。
出産後に正社員で働き続けようと思った場合は、かなり膨大なエネルギーが必要ですので、「私はどちらでもいいんだけど」と思っている状態で出産後も仕事を続けるのは、けっこう厳しいです。
育児と仕事の両立は体力的にも大変ですし、子どもは思うようには育たないし、仕事内容によっては心が折れそうになることもあります(仕事が難しい場合も、仕事が簡単すぎてやりがいを感じない場合も、両方ともあります)。
稼ぎたい、共働きを続けたい、と女性自身が望んで初めて、共働きが成り立つのです。
家計的に、共働きでないと立ち行かないという場合も、強い動機になりますし、何か(子どもの教育、家のローンなど)にお金を使いたいということも、共働きを続ける動機になります。
もちろん、仕事が好きとか、家事が嫌いとか、そういう好き嫌いでもいいのです。
何にせよ、仕事を「続けること」に対して、強い動機があることが、共働きを続けるための条件です。
必要条件がそろわない場合
では、この3つがそろわない場合は、どうしたらいいのでしょうか。
まず、会社の制度については、制度が整っている会社を選ぶという方法が、1番てっとりばやいです。
とはいっても、就職時に、そこまで意識せずに就職してしまう場合もあるでしょう。入社後に、激務で続けられないことに気づくということもあります。
その場合は、制度を作ってもらったり、残業できなくても必要な人材だと認識してもらえるよう、会社に働きかける必要があります。
しかし、一人で会社を説得するには、なかなか体力もメンタルも難しいです。妊娠が発覚したら、7か月弱で産前休暇になってしまいますし、悪阻も体調不良もある中、妊娠発覚後から会社初の育休取得に向けて動き出すのは、なかなかハードです。よほどのバイタリティーのある人しかできません。
できれば、「妊娠する前に」「ある程度の時間をかけて」「男女問わず仲間を増やして」会社と交渉することが大切だと思います。
少子高齢化が進み、会社(特に中小規模の会社)は、深刻な人材難に直面しています。本来なら、能力があって仕事にも慣れている社員を、出産育児後も雇い続けてキャリアを中断させないほうが、会社にとっても有益なはずです。
しかし、小さい会社であるがゆえ、社員が産休育休を取得することにより、数か月(1年数か月)の穴を埋めることの大変さ、代わりの人を採用した場合の、育休取得者の復帰後の人件費に意識がいってしまい、「辞めてほしい」となってしまうのだと思います。
例えば、業務のICT化や効率化により、産休育休中、何とか業務を周りの人がカバーできないか、在宅ワークなどを導入できないか、パートやアルバイト、派遣社員を増やすことで、何とか回せないか、など、ある程度時間をかけて、会社の仕組みと対峙する必要があるように思います。
次に、夫の理解について。
これも、理解のある夫を選びたいところですが、最初から完璧に理解のある夫は、驚くほど少ないです。
夫の理解は、話し合いである程度獲得できます。ただし、話し合う場合は、ある程度理性的に、できれば数値などを示して、夫の脳で理解できるような話し方をする必要があります。
家事を具体的に書き出して分担して欲しいことを可視化したり、仕事のやりがいを目に見える形で示したり(例えば作った成果物を見せる、表彰などの結果を見せるなど)、女性側にも一定の努力が必要です。
話し方については、こちらの本がお勧めです。
最後に、女性のやる気については、どうすればよいでしょうか。
やる気のない人にやる気を出させることは、人間関係で1番難しいですが、ここで1つ、私が信じていることをお伝えします。
私は、私たちの子ども世代は、多くは収入の面が原因で(給料が減ったり、社会保障費が上がり手取りが減ったり、専業主婦の優遇がなくなるなどで)、選択の余地なく共働きがデフォストになると思っています。
そうなると、家事分担が嫌だったり、仕事をするのが嫌だったりする子どもは、生涯辛い思いで過ごすことになってしまいます。
共働きで家事分担が必要だということが当たり前だと受け入れられ、専業主婦は過去の遺物でありみんな働かないといけないのだということを理解できる子どもを育てるためには、母親である自分が働いている背中を見せることが一番の子育てなのではないかと、私は考えています。
子どもが将来、生き生きと共働き社会で過ごしていくために、今の自分の共働きは絶対必要なことだと信じて、ワーキングマザー陸マイラーは今日も元気に働きます。
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