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持続化給付金の不正受給問題 10・5・3(とーごーさん)問題の解決方法は?

新型コロナウイルスの影響で、売り上げが落ち込んだ中小企業や個人事業主を支援する「持続化給付金」の不正受給があったことが、ニュースで取り上げられています。

 

 

 

感想

 

まあ、あるでしょうね。

 

 

 

持続化給付金で不正受給がこれほど広がった理由

  

行政の支援金や給付金の仕組みは、制度設計の前提としては「性善説」で、手続き上は「性悪説」に立っています。

 

 

国民から広く集めた税金を、支援金や給付金、補助金として渡すわけですから、もらえる人は「善人」である必要があります。間違っても暴力団や犯罪団体、本来はお金がもらえない人にお金を渡してはいけません。

 

しかし「人はもともと“ズル”をする生き物ですので、申請する人は基本悪人だと思って対応しています」なんて、行政側からは、口が裂けても言えません。(もちろん民間企業だって言えませんが)

 

ですので、制度設計の時点では「性善説」として、支援が必要な人が、誰でも、必要なタイミングで申請ができて支援が受けられるように、制度を作っています。所得制限や年齢制限はあっても、「あなたは顔が悪人顔だから支援は受けられません」とか、「あなたはイケメンだから申請できません」とはなりません。

 

 

しかし、世の中には“ズル”をする人はいっぱいいます。

 

民間企業であれば、キャッシュバックをしたりプレゼント企画をする場合、その原資は企業自身が稼いだお金ですから、ずるい人でも悪い人でも、企業の利益につながるなら、好きに配布できます(株主からの評価は必要です)。

 

しかし、行政が配るお金は税金ですから、好きに配ったり、支援が必要ない人に間違ってお金を渡したりすることは、国民の信頼を失い、税金を払ってもらえなくなることにつながります。

 

ですので、行政が行う給付金や支援金などは、窓口で必要書類を直接手渡しすることにして悪い人が申請書を取りに行きにくいよう心理的負担をかけ、これでもかというくらい難しくて複雑で面倒で、嘘をつくと矛盾が出てしまうような申請書を作らせて提出させ、大量の証拠書類も求めて、申請をする段階やチェックをする段階で、悪い人やお金をもらえる資格を持たない人(不正受給者)をあぶりだそうとするわけです。

 

これが手続き的には「性悪説」ということの説明です。

 

 

ただこの性悪説に立った手続きは、一つ欠点あります。

本当に支援が必要な人に、素早く必要な支援が届きにくくなることです。

 

 

今回の持続化給付金は、この手続き段階の「性悪説」に基づく煩雑な書類を、「早急に給付金を支給するため」という目的で簡素化しました。

また、全て電子で申請ができるということで、本当に必要な人にも、実は申請できないような人にも、広く申請の窓口を開きました。

 

そうすることで、支援が必要な人に迅速な支援が行えるようになったわけですが、その反面、悪い人が簡単に申請でき、今回の不正受給の大量発生につながったのです。

 

当たり前といえば当たり前です。

 

 

 

また、今回は、中小企業の他にも、「個人事業主」も支援の対象になりました。

 

個人事業主とは、会社の形ではなく、個人で事業をしている人のことです。

 

サラリーマンにはあまりなじみがないですが、実は個人事業主って、かなり簡単になれます。

紙を1枚税務署に届けるだけです。記載内容自体も大した内容ではありませんし、何か調査されることもありません。自宅を職場として個人事業主の申請をしたからといって、実際に事務所があるか自宅にチェックされにくるような仕組みではありません。

 

つまり「自営業」という業態は、いつでもだれでも、簡単に始められるわけです。

 

そして、新型コロナウイルス感染症の影響により、通常は3月で締め切られる確定申告の期限が延期になりました。

 

通常は、3月までに個人事業主届出や確定申告をしていなければ、平成31年(令和元年)の事業収入を証明する書類がもらえませんでしたが、この締切が延期されたことで、4月や5月になっても、遡って平成31年に事業していたという体裁を作れることになってしまいました。

 

届出さえ可能であれば、個人事業主の事業収入があったように書類を作ることは、それほど難しいことではありません。

 

しかし、確定申告の期限延長は、あの3月の学校も休みになり外出禁止が推奨されていた混乱期には必要なことだったと思うので、3月の確定申告の締切を延期したことで、国税局が責められるものではありません。

 

 

 

 

冒頭の10・3・5(とーごーさん)問題

 

10・5・3(とーごーさん)とは、サラリーマン、自営業、農家の、それぞれの所得がどのくらい国に知られているかを説明する、ちょっと皮肉の入った言葉です。

 

サラリーマンや公務員は給料の10割、つまり全てを国税や市町村に知られて、課税されていますが、自営業だとそれが5割になり、農家なら3割になるという意味です。

所得が把握されないということは、税金の算定の元になる金額が減る、つまり納めないといけない税金が減るということです。

 

10・5・1(とーごーいち)ということもあります。これだと、農家は実際の収入の1割くらいしか、国や市町村に知られていない、つまり1割分の税金しかかからない、ということになります。

 

このようなことが起こるのはなぜか。

 

それは、自営業者や農業の課税のしくみは、サラリーマンと大きく異なり、収入から経費を引いて残った額に課税される仕組みですから、実際は家計と事業の区分があいまいになる、ごまかせる部分ができます。

 

例えば、不動産収入がすごくたくさんある自営業者が、高級車を購入して「これは不動産管理に使います」と確定申告し認められれば、収入額から、高級車の購入代金やガソリン代・保険代などの維持費を不動産収入から引いて、収入つまり課税の元になる額を減らすことができます。

 

実際は高級車を普段の生活に使っていても、税務署に指摘を受けない限りはそのままです。車が高すぎる!とか、軽自動車でいいじゃないか!とか国税から言われることはありません。(収入に比べて余りに経費が高すぎる場合は税務調査で目をつけられるかもしれませんが)。

パソコンや文房具、食事代に至るまで、「これは事業に必要だ」と説明できれば、実際の使い方がどうであれ、税務署の指摘がなければ、経費として引くことができ、結果、課税の元になる収入を減らせることになります。自営業の知り合いが、みんなで食事をした後のレシートなどを持ち帰ること、身の回りにありませんか?

 

自営業の5割というのは、こういった形で、本来の収入の5割くらいしか、税務署に申告していないということです。

(個人で5割というよりは、日本の個人事業主全体で5割というイメージですが)

 

 

農業はもっとわかりやすいです。お米や野菜を作って、一部は農協に売り、残りは家で食べても、外から見ている限り、できた農作物全体のどのくらいを販売して、どのくらいを家で食べたのかは分かりません。

 

農家の農産物は、うまく栽培できればたくさん採れますし、逆に台風や天候不良により全く収穫ができないこともあります。どのくらい農作物ができたのかを完全に把握する方法はありません。このあたり、家庭菜園をされたことがある方は、分かると思います。たくさんミニトマトができる年もあれば、ぜんぜん収穫できない年もあります。

 

道に置かれている無人直売所で野菜を売る場合、本来なら、売り上げを正しく収入にする必要がありますが、なすが1袋売れたのか、5袋売れたのか、1袋の金額が100円なのか200円なのかを、チェックする体制はありません。そもそもその年、どの作物が豊作だったのか不作だったのか、それでどのくらいの農作物が作られたのかチェックする仕組みはないのです。

 

なす5袋を200円で販売し1,000円の売り上げ、これを365日続けて36万5千円の収入があっても、ただしく申告しない限りは、実際は誰も分かりません。なすの苗代5千円を引いて手元に残った36万円で、高級イタリアカバンを購入しても、誰も分からないのです。

 

 

この点サラリーマンは、そもそも源泉徴収という仕組みで課税されることになっています。源泉徴取は、給料を支払う企業などが、法律で決められた方法であらかじめ労働者の所得税の金額を計算して、給与から税金(所得税)を差し引いて、差し引いていた税金は企業などから国に納付する仕組みです。

 

したがって、親族が経営する同族会社などで働き、給料をいかようにも操作できるような状況ならともかく、普通の雇われサラリーマンは、自分の給料を低く申告して課税額を減らすようなことは、そもそも不可能です。

 

 

ですので、サラリーマンは10(とー)、自営業は5(ご)、農家は3(さん)と言われるのです。

 

 

 

持続化給付金と自営業の仕組み

 

この、自営業や農業ではある程度簡単に税法上の収支をコントロールできてしまう仕組みを使えば、自営業を装って個人事業主の届け出をし、去年の収入を適当に作って確定申告を行い、今年の特定の月の収入は減ったような書類を作成し、持続化給付金の受給資格を満たすような書類を作ることは、難しいことではありません。

 

実際に自営業を行っている場合でも、特定月の帳簿を操作して収入が減ったように見せかけ、受給資格を満たすような書類を作ることは可能です。

自営業もピンからキリまであります。ブログ収入も副業も、自宅でピアノや料理など何かを教えるのも、全て自営業に含まれます。

 

ピアノの先生が、実際は4月分の月謝をもらっていても、「コロナで教室をお休みにしたので4月は月謝分の収入が減りました」「あ、その後6月にコロナが収まったので、4月分のレッスンの振り替えを行い4月分の月謝を後からもらいました」という収支報告を作成することは、けっこう簡単です。

  

もちろん、税務署に提出する書類を偽造するわけですから犯罪ですし、もし過去の収入を本当に申告していなかったのであれば脱税になりますし、給付金の申請書類を偽造して(実際は事業していない)給付金を不正に受給すれば、これも詐欺罪という犯罪です。 

 

刑法上の詐欺罪は最低でも懲役刑であり、罰金では済みません。(執行猶予がつく場合はありますが、懲役刑で有罪であれば執行猶予がついても、普通の大手企業であればクビになります。)

 

 

さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、今回ニュースになっている持続化給付金のほか、都道府県などの自治体も同じような給付金の制度を作っています。

  

東京都で、営業時間の短縮をした場合は月20万円もらえるとか、他の都道府県でも休業要請の際に給付金を、とか言われていたものがそれにあたります。

 

これも、だいたいは、持続化給付金と同じように、簡易な申請で早急に給付する方針を取っていましたので、今後、同じような不正受給問題が発覚してくるように思います。

 

 

不正受給を防ぐにはマイナンバー制度の拡大が必要です

  

サラリーマンの立場からすると、収入の5割しか税金がかからない自営業や、3割の農業と比べ、所得の全てを握られているサラリーマンって損だよなと思います。

 

しかし、現在の日本の仕組みでは、中小零細企業個人事業主、農家について、実際の収入を確認する方法が本当にありません。

 

 この問題を解消するために利用できるのが、マイナンバー制度であり、マイナンバーに銀行口座を紐づける仕組みです。

 

 

マイナンバーは、全ての国民に1つ割り当てられる番号ですから、この番号がなければ銀行口座を作れないようにすれば、マイナンバーに銀行口座を紐づけることができ、誰にいくら、どのタイミングでお金が入ったのか確認することができるようになります。

そうすれば、今回のように、去年の事業利益を架空で作成し、うその確定申告をして不正受給をするなどはできなくなります。少なくとも、申請や給付が「怪しい」場合に、給付前に簡単にお金の流れをチェックする手段が確保できます。

 

 

アメリカでは、銀行口座を作るには社会保障番号が必要です。

 

社会保障番号は、個人や企業に与えられる番号で、アメリカでは身分証明のようになっており、これがないとほとんど生活が不可能です。

 

アメリカでは銀行口座を作る際も、社会保障番号を口座に紐づけますから、誰の銀行口座にいくらお金が入ったのかすぐに分かります。不透明な口座への入金があれば一発でバレるのです。これはアメリカの場合はサラリーマンでも自営業でも農家でも同じです。

 

 

日本も、同じようにマイナンバーを銀行口座に紐づけすれば、サラリーマンであっても自営業でも農家でも、どこからいくら入金があったのか、国税が把握し、正しく申告させることが可能です。

 

 

 

行政が支援金を渡すための所得要件の基準にしている課税額が不公平な件

 

こちらの記事で紹介しましたが、 現在、非課税世帯には、行政から様々な支援があります。

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 そして、行政からももらえるお金の所得制限の確認のやり方は、税法上の「収入」や「課税額」でチェックされる仕組みがほとんどです。

 

 

この非課税世帯、本当に非正規雇用の夫婦同士で低所得世帯の場合や、離婚して母親一人で非正規雇用をダブルワークして子どもを育てている場合もありますが、実は、夫婦が揃っている非課税世帯の一番多く占めているのは、自営業の世帯です。

 

母子家庭などのひとり親世帯でも、実際は親から多額の支援があったり、養育費がたくさんもらえたりする家庭もありますが、これは課税所得に入らない(現れない)ことが多く、非課税世帯であっても、実際の可処分所得は多かったりします。ひとり親家庭の非課税世帯には、上の記事以外にもとっても様々な支援があるので、さらに差が生じます。

 

 

現状の支援制度は、ほとんどが課税額で所得を判断するので、こういう、本来支援が必要な人以外のたくさんの人に受給資格が生じてしまうという矛盾が生じています。

 

 

これも、全ての収入を確認されて課税されているサラリーマンから見ると、実際は可処分所得が多いにもかかわらず、非課税世帯として税金からなり多くの支援が受けられる世帯があるのは、もう少し平等にならないものかと思います。

  

この点においても、マイナンバーに銀行口座を紐づけ、きちんと個人の収入を把握する仕組みを作ることは、全ての国民にとって利益になるように思うのですがどうでしょうか。

 

 

 

デジタル庁ができるようですね

 

菅政権の目玉施策にデジタル庁の創設があります。

 

デジタル庁が、このマイナンバーの活用を担当するのでしょうか。マイナンバーは総務省の担当なので、総務省とデジタル庁が協力して行っていくのでしょうか。

複数の省庁の協力って、国の機関にはすごくハードルが高いようにも思いますが、うまくできるのでしょうか。

 

 

とりあえず私は、マイナンバーを銀行口座に紐づけることは賛成ですし、本当に早く進めて欲しいと思っていますし、それで、けっこう色々な問題が解決するんじゃないかと思います。

 

少なくとも、マイナンバーの銀行口座の紐づけと、チェック体制を整備が進めば、会社や自営業者、農家の収入が正しく把握できるようになり、本来の正しい収入に課税されるようになれば、今後何年かは消費税が増税されなくてすむくらいの所得税は、新たに確保できそうな気がします。

 

 

デジタル庁に配属される官僚の方々や、応援を求められそうな民間企業の方々には、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 

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