映画「天外者」を観ました
映画「天外者(てんがらもん)」を鑑賞しました。
まず、主演の三浦春馬さんに哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りします。
映画「天外者」は、幕末から明治にかけて活躍した五代友厚の生涯を描いた作品で、天外者とは、五代の産まれた鹿児島県の方言で「すごい才能の持ち主」という意味です。明治初期の経済史においては、東の渋沢栄一、西の五代友厚と言われており、渋沢栄一は2024年から新一万円札の顔になる、今年のNHK大河ドラマ”晴天を衝け”の主人公です。
この映画「天外者」、監督は『精霊流し』『利休にたずねよ』の田中光敏さん、脚本はNHK大河ドラマ『天地人』『花燃ゆ』の小松江里子さんが担当し、キャストに三浦春馬さんのほか、三浦翔平さん、西川貴教さん、蓮佛美沙子さん、生瀬勝久さんなど、豪華でかつ意表をついた配役が並びます。
近代日本経済の基礎を作り上げた五代友厚に焦点を当てたこの作品は、映画配給会社やテレビ局主導の制作ではなく、実は五代友厚プロジェクトと五代塾いう有志の団体から始まった映画でした。
そしてこの五代友厚プロジェクトに知人が関わっていたので、映画が撮影されるずっと前から、わが家ではこの映画に注目していました。
五代友厚プロジェクトは、大阪経済の父と呼ばれる五代友厚の偉業や人となり、生き方を後世に残したいという思いを持った方々が、様々な団体(企業やNPO等)をそのメンバーに加えながら7年以上前から始まったプロジェクトです。
プロジェクトでは、勉強会やお墓参り、そして五代友厚甲子園という学生を対象にした五代友厚の研究発表会の開催など、五代友厚の功績や人生を広く周知する活動をされていました。
わが家は、五代友厚甲子園を見に行ったり、五代友厚の出生の地である鹿児島県いちき串木野市の「五代友厚映画製作プロジェクト」にふるさと納税を行ったりして、映画やプロジェクトに少しだけ参加してきました。
ですので、主演が三浦春馬さんだと決定したり、映画の撮影が始まったりした際には、いよいよ始まるなと夫婦でワクワクしていました。撮影ではエキストラ参加も検討しましたが、あいにく撮影場所や日程、子どもの体調が合わず断念したりもしました。
その後、予定していた公開日が新型コロナウイルスの影響で延期され、公開発表を待っていた時期に流れたのが、あの三浦春馬さんの訃報でした。
スマートフォンのピックアップニュースで訃報を見た時は、夫婦ともに茫然となりました。
(こういった経緯があったので、西川貴教さんがつぶやいてしまう心境が良く分かりました。作品が仕上がっていて、これからも活躍する方だったのになぜなのか、と。魂を込めて演じて作品を一緒に作り上げた人なら、なお余計に想いが大きかったでしょう。)
この出来事で再度公開が遅れ、待ちに待った2020年の年末、ようやく映画が公開されましたので、いちき串木野市ふるさと納税の返礼品としていただいた映画チケットを使い夫婦で鑑賞しました。
映画の感想(ネタばれなし)
五代友厚のことを知るには、とても良い映画でした。
三浦春馬さんの、感情を身体いっぱいに表現した演技にも心を打たれました。そのほかの俳優陣の熱演も見事でした。五代友厚の人生の節目に少しだけ出てくる豪華な俳優陣にも目を奪われました。
しかし商業映画として見ると、けっこう難解で、観る人を選ぶ気がします。
五代友厚の生涯を描き、五代に関連した出来事をこれでもかと詰め込んだ映画ですので、場面転換も時代転換も早いです。人の紹介や時代の紹介のテロップなどもほとんどないので、受験で日本史を選択し、司馬遼太郎の“竜馬が行く”を読み込んだ私でも、途中で「これは誰??これはいつ??」となることが何度もありました。
どちらかというと五代友厚のドキュメンタリーという印象です。
ただ五代友厚プロジェクトのことを聞いていた視点で見ると、プロジェクトの主体となっていた方々の、五代友厚が好きで五代を広く知って欲しいという熱い想いが詰め込まれているのが感じられ、それがこの映画の脚本の軸になったのだろうなと思いました。
そのくらい五代の生涯の出来事がたくさん出てきます。
興行収入を狙うという目的ではなく、後世に五代友厚の偉業や存在を残すという目的で作られた映画、そんな五代友厚ドキュメンタリー映画です。
鑑賞の前には少し予習を
なお、もし観に行かれる際には、できれば以下を予習されるといいと思います。
・才助と利助は、誰の幼名か調べておく
・三菱財閥を作り上げたのは誰か調べておく
・五代友厚が作った大阪の組織や建物を調べておく
もっと予習がしたい方や、映画を観てもっと五代友厚が知りたくなった方は、こちらの本がお勧めです。五代友厚を描いた本です。
最後に少しだけネタバレ
五代友厚が財界人として活躍した大阪の町では、吉村大阪府知事や松井大阪市長がエキストラとして出演されています。余裕があれば探してみてください。
それではまた。
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