車の買い替えを検討しています。
検討対象の車は、買い物としては大変高額ですが、車の値段としては、普通?かな、高級車ではない値段です。
パンフレットを見ているうちに、ふと、学生時代に教授から言われたことを思い出し、色々考えたことがあったので、紹介したいと思います。
「昔は車と電卓の値段は一緒だった」
教授の話。
「電卓が世の中に出てきたころ、電卓と車の値段は一緒だった。40年経ち、電卓は今100円均一の店で売っているが、車は元の値段のままである。この理由は、電卓は電化製品だが、車はエンジンが必要だからだ」
我が国最初の電卓は、1964年3月に、シャープ(当時は早川電機)が発表したもので(CS-10A)、世界で最初のオールトランジスタ型の電卓といわれています。 重量は25kgもあり、価格は53万5000円、当時は車が買えるほど高価なものでした。
車と電卓、これほど価格の差が開いたのは、エンジン製品と電化製品の製造の難しさの違いが理由です。エンジンは緻密な製品で、作るのが難しいので、中国や韓国や途上国が、日本の自動車メーカーと同じレベルのエンジンを作ることができず、結果、車の値段は下がりませんでした。かたや電化製品は、作り方さえわかれば、作成自体は難しくないので、物価の安い国でどんどん安価で作ることができて値段が下がった、ということでした。
その話の続きとして、電動自動車は電化製品になるので、値段が下がる可能性があるのではないか、という話だったと思います。
私がこの話を聞いてから、もう10数年経っていますが、まだ、車の値段は下がっていません。わが家の車も、電卓の値段では買えません(当たり前)。
中国の最近の動向
最近、中国政府は2025年に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの新エネルギー車が新車販売に占める比率を25%と従来目標(20%)から引き上げると発表しました。
もともと中国は、電気自動車の開発に力を注いでいますし、電動自動車の基準も厳しく設定しています。
これ、表向きの理由は環境への配慮ですが、実際はどうなんでしょうか。
環境の点から考えると、ガソリン車は排気ガス(CO2)を排出しますが、電動自動車でもその動力となる電気を発電する際にCO2排出はあるので、大きな差になるわけでありません。
自然エネルギーを活用した発電であればCO2排出はありませんが、国際エネルギー機関の調査によると、中国の発電供給量割合は2019年時点で石炭が65%を超えています。
石炭ですよ石炭。石油ですらありません。広大な大地にあるたくさんの鉱山と、それを低賃金で掘り起こす人民がたくさんいるから成り立つ、中国の電力供給方法です。それで、電動自動車で環境配慮をするというには、お粗末な感じです。
逆に、電動自動車の生産市場の点から考えると、教授の弁では、電動自動車は家電製品であり、仕組みとしては簡単なので、安いコストで大量生産をすることができ、この市場は、中国にはすごく有利です。
複雑な構造の自動車エンジンは、国民全体が一定水準以上の学力を持ち、精緻な技術力を維持できる環境がある日本だからこそ生産ができ、中国その他人件費の安い諸国の追随を許しませんでした。
電動自動車が普及したら、技術力は高いけれども人件費も高い日本で、そんなに製作が難しくないバッテリーやモーターを作成する必要があるのでしょうか。どんどん海外に拠点が移りそうな予感がします。
となると、どんどん低価格化が進み、電動自動車は電卓みたいになっていくのでしょうか。
自動車は、安全性能も大切ですから(命を守る必要があります。)、ペラペラの鉄や、ところどころプラスチックでできたような自動車には乗る気になれません。その点から電卓ほどの価格にはならないでしょうが、でも、100万円程度で軽自動車ではない電動普通自動車が買える時代は、そのうち来るかもしれません。
なお、全ての車がプラスチック電動自動車に置き換わったら、車同士がぶつかっても、今ほどの衝撃にはならないのでしょうか。そうなると、電卓価格の電動自動車が出現するでしょうか。
となると、日本の自動車産業はどうなっていくのでしょうか。自動運転や空飛ぶ車で付加価値をつけていくのでしょうか。それとも、移民を受け入れてプラスチック自動車を作る?
なんだか、何が言いたいのか分からなくなってきました。
とりあえず、車は高いです。家の購入の次に高いです。わが家の動産では、一番高いです。加えて維持費も高い(保険、未来の車検代、駐車場代、ガソリン代etc)。
この値段の高さに、どのような意味があるのか、今後どうなっていくのかを考えた一日でした。
お役に立てましたら、ポチっとお願いします。ブログ村に遷移します