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いっそ同じ世代間で助け合うというのはどう?

前回、児童手当の特例給付廃止について書きました。 

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これを書いていてふと思いました。

 

「子育て世代同士でお金をつけかえて助け合えというなら、高齢者世代も、高齢者同士で助け合ってもらえばいいんじゃない?」

 

今回は、これについて書いてみます。

 

 

日本の個人金融資産の状況

 

日本の個人金融資産は、1,900兆円といわれています。そして、この7割にあたる1,300兆円以上を65歳以上の高齢者が所有しているといわれています。

 

総務省の家計調査報告によると、世帯人数二人以上の既婚世帯における平均貯蓄額は、40代未満が691万円であるのに対し、60代は2,330万円、70代は2,253万円です。

 

なお、この貯蓄額にはローンなどの負債は含まれていません。

40代未満の平均負債額は1,341万円です。プラスマイナスすると750万円ほど赤字です。

一方、60代の平均負債額は250万円、70代以上は70万円です。どちらもプラスマイナスしても2,000万円以上黒字です。

 

統計から分かることは、現在の日本では高齢者に資産が集中しており、40代未満の子育て世帯は、借金を返しながら生きている状態であるということです。

 

そしてもう一つ注目すべきところでは、60代の平均貯蓄額が2,330万円なのに対し、70代は2,253万円で、80万円程度しか差がありません。負債額は180万円も減っていますので、実質は60代から70代で資産が増えていることになります。

 

これはどういうことか。

資産が増える要因は4つ、働いて増やす、年金を使い切らず貯金する、運用する、そして相続で増える、です。

 

現在の平均寿命は男性81歳、女性87歳です。今の80代は、たいてい20代のときに子どもを産んでいますから、80代女性の子どもは60代です。60代のどこかで80代の親が亡くなり、相続で財産が増えるということがあり得ます。

 

いずれにせよ、65歳以上は全体の7割の個人金融資産を保有するほどお金持ちであり、60代から70代に年齢を重ねてもデータ上は資産は増えています。

赤字でへとへとの子育て世代が高齢世代を支援することは、本当に必要なのでしょうか。

 

 

高齢者への支援(若年層にはないもの)

そこで、日本の高齢者が国(行政)から受けている公的支援を考えてみます。

 

65歳以上の高齢者が受けられる国からの支援

・年金(国民年金6.5万円、会社員夫と専業主婦だった家庭の平均の年金は月21.6万円)

 

70歳以上の高齢者が受けられる支援

・65歳以上で受けているもの

・医療費の自己負担2割

 

75歳以上の高齢者が受けられる支援

・65歳以上で受けているもの

・医療費の自己負担1割

 

生活保護障害年金介護保険などは、若年世帯も同じ支援の仕組みがあるので外しました。

高齢者が受けている支援で大きいものは、医療と年金です。

 

 

医療費について

 

70歳以上の高齢者は、現役世代並みの所得がある人を除き、年金だけを受給している普通の人は、医療費の自己負担が軽減されています。

 

現在、高齢者の自己負担割合は、70歳以上は2割、75歳以上は1割です。(現役世代と同じくらいの収入がある人のみ3割負担ですが、対象はごく少数です。)

  

健康保険制度は、徴収した保険料で医療費を賄う仕組みです。医療費総額のうち3割を自己負担分で、7割をみんなから集めた保険料で賄うわけです。

ですので医療費総額が増えれば、3割の自己負担も7割の健康保険料も増えます。

 

 

医療費は12.1 兆円が税金から補填(ほてん)されています。

 

12.1兆円が税金で補填されているということは、3割の自己負担と7割の健康保険料では、賄えていない部分があるということです。

 

それはなぜか?

 

保険料でも賄えない額がでる理由は、高齢者の自己負担の軽減と、高額療養費制度があるからです。(医療の高度化もありますが、割合としては低いです。)

 

 

高額療養費制度とは、1月あたりの医療費の自己負担が高額になる場合、ひと月の上限額以上は自己負担を不要にする制度で、これは高齢者に限らず全ての世代に適用されます。

ただ、70歳以上の高額療養費制度は、70歳未満の高額療養費制度の上限額と比べて、かなり低く抑えられています。年金や収入がある人でも、現役世代の半額以下です。

 

年金について

 

日本の年金は、賦課方式(ふかほうしき)を取っています。

 

賦課方式とは、年金の支給に必要な額を、今の現役世代から集めて今の高齢者に渡す方式です。

もう一つの方法として積立方式があり、積立方式とは自分が収めた、つまり積み立てた年金を自分がもらう方式です。

 

現在は賦課方式ですから、高齢者の数が増えれば増えるほど、そして現役世代が減ればへるほど、現役世代の収める年金の額が増えます。

 

令和2年の国民年金保険料(現役世代が払っている年金の額)は、月16,540円です。厚生年金の対象の人はさらにこれに上乗せされた厚生年金保険料を払っています。

 

45年前、今の70歳の人が25歳の時の国民年金保険料は1,100円でした。

35年前、今の70歳が35歳の時なら、6,740円です。

 

大卒男性の初任給平均は、45年前は9.4万円で、今は21.2万円です。給料は2.2倍にしかなっていない、つまり物価は2.2倍程度しか上がっていないのに、年金保険料は15倍になっています。

 

なお、35年前の初任給は14万円です。35年前で比較しても、物価は1.5倍にしかなっていないのに、年金額は35年前から2.4倍です。

 

 

年金は12.5兆円が税金から補填されています。子育て世代を含めた現役世代は、年金保険料で高齢者を支え(賦課方式のため)、さらに税金でも12.5兆円分も高齢者を支えているのです。

 

 

 

同世代間(高齢者同士)で助け合ってください

児童手当の特例給付の記事で書きましたが、 

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児童手当の特例給付を廃止してそのお金を待機児童対策に使うということは、子育て世代への支援を減らして、子育て世帯の支援に使うことになります。

つまり、子育て世代同士で支え合うということです。

 

それが国の方針なのであれば仕方がありません。

子育て世帯は子育て世帯で何とかしますから、高齢者は高齢者同士で支え合っていただくのはどうでしょうか?

 

 

現在の国の予算は1年で102兆円、そのうち25兆円赤字公債(特例公債)です。

 

既に説明したように、医療費で12.1兆円、年金で12.5兆円が、医療保険料や年金保険料とは別に税金で支払われています。

 

ちなみに児童手当は2兆円です。保育料無償化なんて8,000億円くらいです。

 

医療費と年金に対して税金から支払われている、つまり現役世代が高齢世代を支えるために負担している分を、ぜひとも高齢者同士で賄っていただきたいです。 

 

 

医療費の自己負担は全員3割でよろしくお願いします 

 

現在75歳の、厚生年金に加入していたサラリーマンと専業主婦の夫婦の場合、現在の年金額は二人で21万円です。

現在の大卒男性の初任給と同じです。

 

大学を卒業した企業に就職した男性が、お付き合いをしていた大学の同級生と卒業と同時に結婚した場合、21万円の給料をもらいます。結婚した女性が何かの事情(多いのは妊娠)で働けなくなると、男性の21万円の給料のみで新婚夫婦は生活することになります。

 

若い彼らは、年金保険料を月16,540円以上払い(厚生年金のため)、医療費を3割自己負担します。大学を卒業してすぐ結婚してますから、彼らにはもちろん貯蓄額はありません。

 

一方、75歳の年金ご夫婦は、月21万円の年金をもらいます。年金保険料の支払いは0円で、医療費は1割負担です。彼らには2,000万円をこえる貯蓄があります。

 

これは負担が偏っていると思いませんか?

 

高齢者は、まずは医療費を3割自己負担して、税金から医療費に使われている12.1兆円を減らしていただけないでしょうか。

 

高額療養費も、個人資産があれば、それを平均寿命から逆算して各年の収入として計算し、現役世代と同額の上限額で負担をお願いします。 

 

 

年金は積立方式でお願いします

 

大卒新婚男性が、月21万円の給料からこれ以上の年金保険料の負担をするのは苦しいです。これから子どもも産んで育てていかなければなりません。子育て世帯は子育て世帯同士で助け合えと言われているのに、さらに高齢者の負担まで負えません。

 

そこで、年金は積立方式でお願いします。

 

厚生年金は人により異なるので、国民年金のみで考えると、現在75歳の方が支払ってきた国民年金の総額は330万円程度です。70歳の人なら420万円程度です。

330万円以上の国民年金を受給した75歳以上の方は、来年以降は年金0円でお願いします。だいたい4年半くらい年金をもらうと、終了します。

70歳以上の方は、6年弱年金をもらうと終了です。65歳から年金をもらっている方はあと2年くらいです。よろしくお願いします。あ、60歳から年金をもらっていましたか?それなら来年から0円です。

 

払った分だけもらうので、損はしていません。金融資産なら有利子なのに?では銀行の普通預金の利率くらいは増加させましょう。投資したらもっと増えるのに?いえいえ、60代の金融資産の60%は預貯金です。有価証券は14%しかありません。個人の資産は投資なんかせず大半を銀行に預けているのですから、年金に投資利益を期待するのは止めましょう。

 

受け取りは、一括でも分割でもかまいません。年金保険料を払っていたのに、年金をもらう前に若くして亡くなった場合、払った額の9割くらいは一括で残された遺族に渡すのもOKです(1割は管理手数料として国へ渡します。)

 

大丈夫、70代でも平均貯蓄額は2,253万円あります。1年に200万円つかっても、あと10年はもちます。

200万円では生活できませんか?

若年の非正規雇用の方は年収200万くらいで年金保険料も健康保険料も払いながら生きているんですが…。

 

貯蓄が無くなった時が心配なら、高齢世代の個人金融資産は1,300兆円もありますから、高齢世帯同士がお互いに年金保険料を払って支えあうのはどうでしょうか。

この場合の年金保険料は、収入で保険料を決める今の仕組みを使うと、ほとんどの人が年金収入しかないのでみんな同額になり、個人金融資産の1,300兆円が生かされません。高齢世代の助け合い年金では、金融資産の額で保険料を決めればよいと思います。高齢者世代での助け合いですから。

 

 

子育て世代は、貯蓄と負債を相殺すると650万円程度の赤字ですが、それでも子育て世代同士で支え合えと言われています。

 

ですので、高齢世代も、ぜひ高齢世代同士で頑張ってください。どうしても無理になった場合や、思いのほか長生きした場合は、生活保護という制度で現役世代が支えてくれます。

 

 

私が言いたいこと

 

というような制度が導入されることになった場合、高齢世代の方はどう思われるでしょうか?きっと怒りまくって反対するでしょう。

 

でも、児童手当の特例給付の廃止は、これと同じことをしていると私は思うのです。

 

所得のそこそこある世帯の児童手当の特例給付を廃止して、それを待機児童に充てる。今待機児童として保育園に入れていないのは、(大都市を除けば)これから働きたいと思っている今は専業主婦の人が多いですから、世帯所得の高いところから、片働きで世帯所得が低いところにお金をつけかえることになり、税金の機能である富の再分配になっています。

 

ただしこの方法の問題は、富の再分配を、子育て世代だけで無理やり完結させようとしているところです。

 

なら高齢者も、高齢世代間で富の再分配をするなら、どんな社会になるかなと思い、記事にしてみました。

 

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