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ハンコの廃止が進むと困る人

河野行政改革担当大臣が、行政のハンコ廃止をトップダウンで進めています。

 

これほど大々的に、しかもトップダウンで、国民にも行政機関にも、見た目に分かりやすい改革ですから、それなりに進んでいくのではないかと想像しています。

 

私は、脱ハンコの推進には賛成です。行政が脱ハンコになると、民間も脱ハンコが進んでくると思いますし、書類関係のルールも変わってくると思います。

 

すぐにでも、明日にでもやって欲しいと思っています。

 

しかし少し立ち止まって考えると「ハンコ廃止が進むと、困る人がいるんじゃないかな」と思いました。ハンコ作成業者が困るのは自明ですが、ハンコを使っている人で、困る人のことを考えてみました。

 

 

 

  

日本のハンコ文化の特徴

 

ハンコは日本特有の文化です

 

日本以外の国では、「サイン」つまり「署名」が大切にされています。

日本は、どちらかというと「ハンコ」が大切にされています。

 

ハンコにも2種類、「実印」と「それ以外(認印など)」がありますが、私たちが日常的に使う印鑑はほぼ「それ以外」の印鑑です。

 

この「それ以外」の印鑑、100円均一のお店でも購入できるのに、行政の申請でも銀行口座を開設するのでも、保険に加入するのでも、その他さまざまな申込のシチュエーションで普通に使えて、しかも絶大な効力を発揮します。

 

どのくらい絶大か。

 

署名が明らかに「本人じゃないよね」という場合でも、印鑑があれば書類が通ってしまうくらいに絶大です。そのくらい、日本の社会は、署名より「印鑑」に重きを置いて書類の処理が進んでいます。

 

ハンコ廃止が進むと変わることは何でしょうか。

 

脈々と続いてきたハンコ文化を変えるわけですから、社会にある様々な書類のオペレーションを一から考え直す必要が出てくると思いますが、とりあえずハンコがなくなると、本人の意思表示は「署名」いわゆるサインが大切にされるようになると思われます。紙のサインでも、電子サイン(タブレットなどに書くサイン)でも、とりあえず「自署」を大切にされるのではないかと思われます。

 

そうすると、本人がサインできない場合、書類としての効力はどうなるのでしょうか。

 

現在、自署ができずもしくは自署をせず、「ハンコ」に頼った書類作成を行っており、「ハンコ」の絶大な効果を享受している人たちは、ハンコ廃止になると困るんじゃないかなと思うのです。

 

  

困る人1 書類の作成をどちらかが担っている夫婦

 

まず、夫婦の中で、どちらかが書類仕事を担当している場合、担当している人は困りませんか?

わが家にも心当たりがあります。

 

わが家は、そこまで行政系の書類が多いわけではないのですが、それでも保育園の入園や継続関係の書類、児童手当の書類、子どもが保育園から病院などに行った際の保険関係の書類などは、行政関係の書類として記載して提出しています。

 

そして、これらの書類について、夫・もしくは夫婦の名前で処理をしています。

 

お金にかかわるものは、申請者名と口座名を一致させるよう注意書きがある場合が多く、わが家は「夫婦共有財産制」をとって、夫名義の口座で共有財産を管理しているので、夫婦個人のお金以外は、すべてこの夫名義の共有口座で処理をしています。

 

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わが家は、保育料の引き落としや、お金を振り込んでもらうような場合は、夫名義の銀行口座(共有口座)で処理しますので、夫の名前での申請が必要です。そしてたいていは、名前に加えて押印が求められます。これらの書類、だいたい私が記載して提出しています。

 

保育園の入園申請や継続申請は、私が住む自治体では、書類の最後に、夫婦の記名と押印が求められますが、こちらも、私が代筆することがあります。

もちろん、提出までに時間的余裕があれば、夫が記名していますが、すぐに提出が必要なものもあり、そういう書類は私が代筆し、ハンコを押していました。今までは、明らかに夫と妻の筆跡が同じでも、訂正を求められることはありませんでした

 

わが家の場合、ハンコが廃止になれば、夫の書類を妻が作成し署名するのは、アウトになるのでしょうか。まあアウトになるのでしょうね。今でもグレーな気がしますしね。

 

まあわが家は、夫に署名をしてもらうようにするか、書類自体を夫が書くように分担を見直せば対応できます。子どもの書類については、そもそも親に親権がありますから、子どもの書類を親が書いて署名することは従来から可能です。

 

 

 

困る人2 超高齢者

 

しかし、かなり高齢の方など、自筆での署名が難しいような方は、ハンコ廃止になり、自署を求められた場合、困ることが出てくるように思います。病気や高齢により身体に障害が出て、文字が書きにくくなった人も同様です。

 

本来、他人の書類を代理で書くためには「委任状」をもらうか、もしくは代理で書類が作成できる資格がある人にお願いすることが必要です。

 

代理で書類を作成できる資格とは、役所関係の書類では行政書士、土地などの登記関係では司法書士、裁判書面は弁護士(一部司法書士も可)などです。

 

 

それ以外の人、例えば高齢の親の子どもについては、行政関係や契約関係の書類を子ども世代が代筆することは、認められていません。高齢の人の書類を代筆するためには、委任状を作るか、成年後見制度を利用して法定代理人になる必要があります。

 

成年後見制度とは、認知症などの理由で自己判断能力の不十分な方々をサポートしていくための制度で、成年後見人になるためには、裁判所の許可が必要です。

 

しかし、成年後見制度の利用者数は2019年時点で22万人程度です。認知症の人の人数は2012年時点で460万人、2025年には700万人にのぼるといわれていますので、成年後見制度が社会的に十分認知されて広がっているとは言えません。

 

 

しかも、この成年後見制度、自己判断力の欠如や低下が制度の要件として必要であり、ただ年齢を重ね、手や身体の機能的な問題で書類の作成(署名)が困難になった、判断力のしっかりした高齢者には、はなかなか適用が難しい制度です。

 

 成年後見制度が利用できない場合、本人に代わって手続きを行うためには、本来は委任状が必要です。

委任状についても、現在は(良し悪しはともかく)子どもが親の名前を代筆したうえで「印鑑」を押せば、とても重要な局面以外は、けっこうOKになっています。こんなにかわいい文字の高齢者います?というような筆跡でも、押印があれば、まあOKです。

 

しかし、これは書類の確認者が「押印」を重視しているため、筆跡が本人のものでなさそうでも書類的にOKになっているのであって、ハンコが廃止になり、署名を重要視するようになれば、明らかに本人の筆跡とは異なる委任状が出てきた場合、OKにしてもらえるのでしょうか。

 

成年後見制度も使えない、委任状の署名もできない高齢者は、ハンコレスになったら困る場面が出てきそうな気がします。

 

 

 

困る人3 離れて暮らす家族

 

離れて暮らす家族、例えば単身赴任の場合や、下宿の大学生なども、困る場面が多そうです。

 

今までは、電話やメールで「代わりに書いて出しておいて」で済んだ書類も、ハンコが廃止になり、署名を求められるようになると、書類のやり取りをしてから対応しなければなりません。

 

まあこの書類関係は、ハンコの廃止が進むこととあわせて、ペーパーレスも進んでいくでしょうから、しばらくすれば、書面のやりとり自体が不要になっていくかもしれません。申請書が電子で送られてきたり、ネット上からダウンロードして対応する場面も増えてくるでしょうし、若年世代であれば、紙をPDF等にしてメールでやり取りするなども可能になってきますから、工夫次第で何とかなるレベルでしょうか。

 

 

まとめ

 

私は、ハンコ廃止は大歓迎です。

 

行政のハンコが廃止されると、民間にも波及していくことでしょう。客と書類のやり取りをしている多数の会社でも、書類の扱いやオペレーションが変わっていくことと思います。

 

ハンコ廃止が進めば、押印のために出社する必要がなくなり、押印ありの書類を保存しておく必要もなくなるかもしれません。 

 

ただ、誰が押しても同じ形になるハンコ文化から、一人一人個性がでる署名文化に変わるわけですから、その変化に対応できない人が、特に社会的弱者の中で出てくる可能性があります。

 

日本はすでに超高齢化社会に片足を突っ込んでいますから、ハンコ廃止後の書類業務のオペレーションを考える際には、こういった「自署で書けない人」のことも、考慮していく必要があるように思います。

 

なお、日本の役所や大企業の場合「じゃあそういう困る方は引き続きハンコで」となりそうなのが残念なところなので、各方面の脱ハンコ後の書類オペレーション担当者の方々には、ぜひ期待を裏切るスペシャルな改革をお願いしたいです。

 

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